彼氏と彼女

5/17
908人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
「早く行こ。遅刻しちゃう」 そう言って俺の腕を引っ張る。 俺は従ってのろのろ歩き出した。 「よぅ!朝から熱いな」 わざとらしく手で扇ぎながら大町(オオマチ)が話しかけてきた。 大町とは去年同じクラスだったが、今年は別だ。 中学からの友達だが、真樹とも仲がいいみたいだ。 まあ、それもそうだよな。 真樹と大町は同じクラス。 「大町君、はよ」 真樹は嬉しそうに挨拶をした。 誰にでもそう。 話しかけられれば笑顔で応える。 真樹がモテる理由のひとつだと俺は思う。 「真樹ちゃん毎朝大変だね」 そんな事は全く思ってない笑顔で大町は言う。 「ホント、毎日寝坊してくれるおかげで大変」 嘘か本当か、真樹が笑顔で答える。 確かに起きる時間は遅いが、寝坊じゃないと思う。 第一、今朝は真樹が理由だ。 『眠れないの』 そう言って電話してきたのがすでに一時過ぎ。 『眠くなるまで付き合って』 そうして電話を切ったのが四時近く。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!