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「早く行こ。遅刻しちゃう」
そう言って俺の腕を引っ張る。
俺は従ってのろのろ歩き出した。
「よぅ!朝から熱いな」
わざとらしく手で扇ぎながら大町(オオマチ)が話しかけてきた。
大町とは去年同じクラスだったが、今年は別だ。
中学からの友達だが、真樹とも仲がいいみたいだ。
まあ、それもそうだよな。
真樹と大町は同じクラス。
「大町君、はよ」
真樹は嬉しそうに挨拶をした。
誰にでもそう。
話しかけられれば笑顔で応える。
真樹がモテる理由のひとつだと俺は思う。
「真樹ちゃん毎朝大変だね」
そんな事は全く思ってない笑顔で大町は言う。
「ホント、毎日寝坊してくれるおかげで大変」
嘘か本当か、真樹が笑顔で答える。
確かに起きる時間は遅いが、寝坊じゃないと思う。
第一、今朝は真樹が理由だ。
『眠れないの』
そう言って電話してきたのがすでに一時過ぎ。
『眠くなるまで付き合って』
そうして電話を切ったのが四時近く。
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