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「……首藤…おま──」
「あなたは昨日何も見なかった」
俺の話を遮って、有紀は話を続けた。
…有無を言わせぬ、命令するような強い口調で。
「何もしていないし、何もわからない。あの場にたまたま居合わせただけ……いいな?」
「ちょっ、ちょっと待て!どういうことだ?意味わかんねぇよ」
「あなたは昨日何も見なかった。何もしていないし、何もわからない。あの場にたまたま──」
あからさまに何かを隠そうとする有紀の様子に、苛立ちが爆発した。
「それはもう聞いた!!! どういう了見だって聞いてんだ!!!」
「っ!!……………」
「あんなのを知らず存ぜずで通せると思ったのか?ふざけんな!!! なんなんだよ、あの怪物は!?」
「…………………」
「俺の右腕だって怪物みたいになったり…背中には翼がはえたり…俺の体はどうなっちまってんだよ!? 説明してくれよ!!」
「…………………」
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