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「……ぅっ…くぅ──」
「……………」
目の前で泣く有紀にかける言葉を見つけられず、俺は口をつぐんでいた。
悪いのは俺だ。
そんなことは分かっている。
でも、俺は知りたい。
有紀が隠している秘密を
今、この世界に何が起きているのかを
俺は──
--コンコンコン
「「!!」」
突然のノックに俺たちは心底驚いた。有紀はすぐさま目尻を服の袖で拭い、それを見計らって俺は返事をした。
「失礼するよ」
「失礼します」
入ってきたのは、スーツを着た見知らぬ中年太りの男性と、せの秘書らしきスマートな女性だった。
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