プロローグ

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「…………砂のお城……」 は!? 釘也の思考にノイズが走る。 ぼそりと呟かれたそれは間違いなく愛流の声で、彼女が思念しているものが自分が遊んでいる姿だと予想できるのが釘也の思念を更に乱していく。 ちょっと待て天見、それは遊具ではなくお前がしたいことだ。皆が道具の準備をしている中、お前だけ既に遊んでいるとはどういうことだ。 というか砂浜はこっちで用意してやるんだから全てが終わった後で、いくらでも城を建ててくれ。 なんて抗議の声も当然のことながら言葉には出来ない。 そんなことをすれば釘也を除く他の奴らの思念を邪魔することに繋がってしまうからだ。 しかし、頭では自制できるものの身体はそうはいかない。 釘也の感じた動揺は握られた手に若干力が込められたことで玲菜へと伝わり、その同様は伝染してひかるへ、そして太一へと伝わっていく。 やばい、これはやばい。 自身で自覚できるほどに思念が乱れていく。 もはや釘也の頭には砂浜で城を建築中の天見が存在しており、消そうと思えば思うほど思念は泥沼に嵌っていく。 こんなことで舞台構築をしくじれば、玲菜からどんな叱責を受けるか分かったものではない。 釘也は必死になって海を再構築しようと奮闘するが、一人妄想にふける愛流は止まらない。
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