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なんとか凜をとっ捕まえた僕は、家に戻ろうとしたが足を止める。
凜だって人間だ。外を歩けないようじゃこの先やっていけないぞ。
「凜。すこし散歩しようか」
凜はこくこくとうなずいた。
僕は凜の腕を右手でしっかり握りしめ、暴走しないようにする。
「しかし……凜は普通に二足歩行できるのか?」
僕は今日見たばかりだからよくわからないが……
とりあえず凜の歩き方は全て四足歩行だったからな。
今は手を握りしめているから四足歩行はできないけど。
そしたら急に固まったからな……やはり二足は無理なのか?
……試しに僕が先導しようかな。
「ほら、凜」
僕は凜の手を握ったまま、前に歩く。
だが凜は、両足をふるふると震わせて歩けていなかった。
やはり慣れてないんだな……凜自身も僕の腕にしがみついてきたし……
「凜……やはり歩けない?」
だが凜は首を縦に振らずにいた。
凜は凜なりに頑張っているというわけか……
「まるで生まれたての小鹿だな……」
僕は凜が自力で足を動かせるまで待ってみたが、どうも上手くいかないらしい。
今は仕方ないか……
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