空っぽな彼

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「えー……なになに?」 彼は私を見た途端に、首輪のような物から一枚の紙を取り出した。 どうやら手紙のようなので、とりあえず読んでみる事に。 「お父さんから?なんだろ……」 花美(かみ)へ、元気か?凜(りん)からこの手紙を受け取ってる事を願っている。 「願っているって何よ……」 凜の異変に気づいたと思うが、彼は表情や言葉を失ってしまった。恐らく、両親の死亡がよほどショックだったらしい。 「確かに……」 それだけではなく、人間味も無くなり、猫というか幼児というか……とにかくせわしないったらありゃしない。 「は?」 だからできるだけ凜から目を離さないでほしい。それと…… 彼を普通の人間に戻してやってくれ。以上。 「以上って……終わり!?」 というか急にこんな事頼まれても……とりあえず整理しよう。 彼は強いショックによって感情、言葉、人間味を失った。 猫や幼児のようにせわしなく、できるだけ目を離さないで…… 目を離さないで? ……そういえば凜は? 「……しまった」 私は頭を抱えた。
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