40人が本棚に入れています
本棚に追加
「凜ー!!どこー!!」
私は必死に凜の名前を呼ぶ。
すると、玄関の方から音がした。
私は玄関に向かったが、その時には既にいなかった。
「お父さん……なんてもん押し付けんのよ……今度帰って来た時一発ぶん殴ってやる」
こりゃ体力的にも精神的にもキツいなぁ……
「あ、いた」
凜は何を思ったのか、電信柱によじ登ろうとしている。
私はため息をつきながら、凜を引きずり降ろす。
「はぁ……、とりあえず家に入りましょ」
言葉の意味を理解したのか、凜は軽くうなずく。
しかし、その直後に窓から入ろうとした事からして、どこから入るかは分かってなかったみたい……
「いい?家は窓から入ったらダメ。ちゃんと玄関の扉から入りなさい」
これで分かってくれるだろうか……
(ドンッ!!)
分かってないみたい。扉に正面衝突しちゃってる。
これは幼児や猫よりも明らかに酷い……
というか私の想像では、少女マンガとかに出てきそうな性格も頭も見た目もパーフェクトなイケメン君に成長してると思ったのに……
現実では未知なる謎の男の子に成長しちゃってるし……現実って厳しいね。
あ、今度は全力疾走で扉に激突した。
でも全然痛そうじゃない……さすが無表情。
最初のコメントを投稿しよう!