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「……………祐月?」
ふと目線を上げて反応の無い祐月を見た
「ッ祐月……泣いてるの?」
祐月の右頬にはスゥ-・・・と涙が流れたような跡が出来ていた
小さい鼻はほんのり赤くなり、
ぱっちりした大きな瞳は涙で潤んでいた
よくみれば女の子のようだ。
「…覚悟はしていたんだ」
ボソッと祐月が呟いた。
「…え?」
「旭に何らかの障害が出ることはわかってた…」
「祐月…」
そう言って自嘲ぎみに笑う彼。
「決めたんだ…」
祐月は自分の頬の涙を拭うと綺麗に笑った
「旭が記憶を無くしてしまったのなら…」
「…僕が旭の新しい記憶を作ってあげるって――…」
…彼のこの言葉から、
私の中で
゛大切なもの゛を見つけ出す旅は始まったのかもしれない―…
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