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あの事故から一年。
旭が事故にあった日から僕は毎日旭の病室に通い続けていた
――――――――――――
―――――――
『…大変
申し上げにくいのですが……』
一年前のあの日、旭の病室に担当医師の力ない声が静かに響く
『…旭さんはもう目覚めることは無いかもしれません』
『―――――――…え?』
僕はただ呆然とその場に立ち尽くした
『どういうことですかっ!?
旭はっ、旭は…っ!!』
旭の父親、
一条 遥希(はるき)さんは声を荒げて医師に掴みかかる
しかし医師は、ただ申し訳なさそうに俯くだけだった
『…そんな…なんで旭が!?なんで、なんで…っ…』
遥希さんは力なく崩れ落ちた
『で、でも…
まだ目覚める可能性はあるんです…まだ、絶望的なわけではありません』
医師の声に僕も遥希さんも顔をあげる
『ほ、本当ですか!?』
『ええ。ただ…』
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――――――――
一年前のことを思い出しながら僕は今日もまた、旭の病室へ入っていく
カタ…
本来、聞こえるはずのない旭のベッドから物音がした
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