真っ白な世界

5/7
前へ
/18ページ
次へ
「君の名前は一条 旭(いちじょう・あさひ)って言うんだ」 微笑みながら男の子は続けた 「そして僕は…っ、」 「あなたは…?」 シン、と静まり返る病室。 男の子と私の間に微妙な空気が流れる 「貴方の名前、は?」 沈黙に耐えきれなくなった私は掠れる声で、またその男の子に尋ねた 「僕の、僕の…名前は…」 「…二条 祐月 (にじょう・ゆづき)だよ」 何かに迷ったような、 自分の名前なのに私に言うのを躊躇した彼。 しかし名乗った後には、 その迷いは無くまっすぐ私の目を見つめてくれていた 「一条旭、二条祐月…?」 「そう。僕のことは゛祐月゛と呼んでね。」 「…うん、祐月ありがとう」 祐月に向けてニコッと笑う。 その笑顔は 自分でも分かるほど、どこかひきつったような笑顔だった .
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加