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「君の名前は一条 旭(いちじょう・あさひ)って言うんだ」
微笑みながら男の子は続けた
「そして僕は…っ、」
「あなたは…?」
シン、と静まり返る病室。
男の子と私の間に微妙な空気が流れる
「貴方の名前、は?」
沈黙に耐えきれなくなった私は掠れる声で、またその男の子に尋ねた
「僕の、僕の…名前は…」
「…二条 祐月
(にじょう・ゆづき)だよ」
何かに迷ったような、
自分の名前なのに私に言うのを躊躇した彼。
しかし名乗った後には、
その迷いは無くまっすぐ私の目を見つめてくれていた
「一条旭、二条祐月…?」
「そう。僕のことは゛祐月゛と呼んでね。」
「…うん、祐月ありがとう」
祐月に向けてニコッと笑う。
その笑顔は
自分でも分かるほど、どこかひきつったような笑顔だった
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