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「…ねぇ、祐月」
「…どうしたの?」
祐月はベッドに座ったまま俯いている私を見て心配そうに私の顔を覗き込んだ
「もう気付いてるかもしれないけどさ…」
「うん、」
「私…何も覚えてないみたい」
「…………っ、……うん」
へらって笑いながら祐月に記憶が無いことを告げると祐月はとても傷ついた顔をした
しかし、
私自身は至って冷静だった。
記憶が無いのにそこまでパニックじゃない、
自分の事がわからないのにぜんぜん悲しくない、
むしろ
記憶を無くしたのが他人事のよう
どこか…
心にぽっかり穴があいていて、
どこか、
………………胸が痛むんだ…
「…一般常識とかは分かるの。でも…自分が分からない。」
……自分が誰なのか。
何で私は病院にいるのか。
そして目の前にいる君は、
……私の何なのか。
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