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麗らかな昼下がり、少女の屋敷の庭は静寂に包まれていた。
それは時間が止まったようにゆったりと流れるいつもの風景。
女学院が休みの日曜日だけの時間。
広く裕福そうな屋敷。そこの次女であるアリスは、豊かな癖のない金髪を芝生に広げ、可愛らしい蒼のエプロンドレスから伸びる脚を適当に投げ出した。
澄んだ青い瞳は眠そうに瞼に隠れる。
アリスは近くに本を広げる姉の姿を見れば、どこか暇そうに欠伸を一つ。
「本なんかよりも私とあそびましょうよ、姉様ぁ~」
目元に溜まる涙を拭いながら、アリスは本に夢中の姉を誘う。
しかし、姉のロリーナは聞こえていないようで全くの無言を通していた。
だが、何度も同じ文句を繰り返すアリスが次第に鬱陶しくなったのか、"付いて来ないで"とやんわり釘を刺して屋敷への帰り道を足早に辿ってしまった。
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