敵の敵

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高橋は使用不能になったトランシーバーを投げ捨て、左手で右手を押さえながら近くのトイレに移動した。 トイレに入り、洗面台の前に立つと、錆びかけた蛇口に左手を伸ばした。正面の鏡には、しかめ面を解かないた自分の姿が映っている。 蛇口を捻ると、血に染まった右手に容赦無く冷水が浴びせられた。焼けつくような右手に痛みかも冷たさかも分からない感覚を受け、ウアア、と力無く呻く。
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