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街で唯一の携帯ショップに立ち入った私は、まず最新機種の情報が載っている無料パンフレットを取った。 そして空いてる席に座り、店員を呼んだ。 「すみません。携帯のワンセグが使えないのですが」 店員は私の携帯を手に取ると、マイナスドライバーを取り出した。私の携帯の横に充電器を挿す口があるのだが、そこにドライバーを差し込んだ。 「えいや!」 謎の奇声をあげながら、そこをクイッと曲げると、携帯の基盤が剥き出しになった。 「何をしているんですか!?」 「大丈夫ですから」 「貴方は大丈夫でも、携帯は危ないと思いますが!?」 店員は私の最後の質問には答えず、携帯の修理に取り掛かる。 だが、私は店員が携帯を直している間は、終始生きた心地がしなかった。 もちろん使用期間が三年未満であり、私の落ち度が無いため無料で直して貰ったが、今度頼む時は妻にお願いしようと思った。
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