それぞれの旅立ち

14/14
2492人が本棚に入れています
本棚に追加
/491ページ
「ありがとう。 あれ以来、こうしてちゃんと話をするの初めてだね。」 私は黙って頷いた。 「もう、一人暮らしには慣れた?」 「はい。」 二人の間に沈黙が流れる。 思い残すことないように、何か話さなきゃと思えば思うほど言葉が出てこない。 「おーい、木原! 最後にみんなに挨拶しろ。」 部長が向こうの席から大きな声で木原さんを呼んだ。 「はい、今行きます。 …それじゃ、元気で。」 「木原さんも、…お元気で。」 こうして、私達は最後のお別れをした。
/491ページ

最初のコメントを投稿しよう!