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「いってらっしゃい。気をつけてね。」
今日も、夫を会社に送り出してから、一息つきぼんやりテレビを眺める。
いつもの朝、いつもの光景。
毎日、同じ事の繰り返し。
でも、特に不満に思うことはなかった。
“平凡”私にはそれが一番似合っているから。
沢田 美緒、23才。
3才年上の夫、隆とは親の薦めで結婚した。
父は小さな会社を経営している。
私が中学生の頃、景気が悪く、取引先の会社に援助してもらい立て直した。
ただし、条件があった。
社長の息子と私を結婚させ、ゆくゆくは父の会社を継がせ子会社にする。
大人同士の決め事で、私の未来は決められていた。
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