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キスをしながら俺も涙を流す。
涙は俺の頬を流れ落ち…真希の顔に落ちる。
俺の涙と真希の涙、2人の涙が混ざった瞬間。
…ピ…ピ…ピー
嫌な音が病室に響き渡る。
「どけっ!」
心配蘇生法をしようと、先生が俺を突き放す。
俺は、放心状態で真希の顔を見る。
「もう辞めてください!もう…真希を楽にさせて下さい…」
俺は真希の顔を見た瞬間先生やナース達に怒鳴った。
「…本当にいいんですか?」
「はい…」
ピー…パチン…
先生達は心電図の電源を落とし、悲しそうな顔で病室を出て行った。
病室に静かな…何も聞こえない時間が流れていた…
俺だって、出来る事ならもう一度真希に目を開けて欲しい…
でも、俺は先生を止めた。
なぜなら…
俺が真希の顔を見た時、あいつ、どんな顔してたと思う?
それは…
微笑んだ顔。
その微笑みは、俺が知る中で一番可愛いくて、安心させてくれて、そして…
そして、悲しみ、不安…何もかも包み込んでくれる…そんな微笑みだった。
俺はそっと、真希と別れるように病室を出た。
真希がしていたような微笑みで…
ずっと、ずっと俺を見守っていると分かったから…
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