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記憶の眠った海に、俺を愛する気持ちが一緒に眠っているのなら。
いつか記憶が戻ったら、またここに帰ってくるだろうか?
「……伊織。」
窓に近付き、遠くの波音に耳を済ませる。
「返事してくれよ…そうだよな?伊織……」
窓の外に広がる暗闇の中、記憶の眠る海を探した。
「そばにいてよ…」
『ずっとお前の側にいるって言っただろ……』
ふいに波の音に混ざって、耳元であいつの声が聞こえた。
END
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