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白い煙が冬の真っ青な低い空に、ひとすじの道を作った。
「まっすぐ空に向かって…あいつの心そのものだな。」
「ん…俺達は彼女の事を決して忘れちゃいけないんだ。彼女はいつも見てる。俺達が嘘をついたり、心を偽らないようにって。」
そう言えば…って、伊織が空を見上げながら呟いた。
「赤ちゃんってさ…生まれて来た時にギュって手を握り締めて生まれてくるだろ。その手の中にはその子の一生分の運命が詰まってるんだって。でさ、手を開いた瞬間、その運命が飛び立つんだよ。優希もこれから様々な事に出会って、キラキラしたその運命ってやつを拾い集めて行くんだろうな。」
「じゃー俺達が出会って、こうして一緒にいるのも生まれた時から決まってたって事か。」
「これからは3人で沢山集めて行こうな。」
沢山の素敵な思い出を心の中に仕舞わせてやりたい。
ゆっくりと昇っていく彼女の魂に、俺達は静かに誓った。
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