春 Ⅰ

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「……。 ……その行為の意味を知ったところでお前に何の利点がある?」 「……わかりません。 ただ私は、死んだあの子を見つめるあなたの目と、墓を作っていた時のあなたの機械的な動きが忘れられない。だけ」 「……」 どこまで僕の事を見ていたんだとある意味感心してしまう。 まあ、こいつに言ってしまっても問題は無い。 「生き物の中身と、何かが動かなくなった時周りの人間はどんな反応するか気になっただけだ」 「悲しむんじゃないですか」 「わからなかったんだ、おもちゃだって動けば遊び、壊れれば他のおもちゃを買い遊びの繰り返し……。 生き物だって同じなんじゃないかってね、実際僕たちはアレが死んでから数日は悲しみに浸ったが、誰か1人が学校が飼っている兎に目をつけた。するとどうだ?覚えているだろ?」 そう、新しいおもちゃをみつけた子供のように、忘れていった。
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