春 Ⅰ

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真っ黒い世界から扉を開けるともう夜だった、この家にいると全ての感覚が狂う。僕にとってスパイスになったけれども。 玄関から外に出てみると、この家が余程のものだったかを思い知った。夜がとても明るく見える。 一言別れの挨拶ぐらいしてやろうと後ろに振り向いたのと同じタイミングで ガチャンッ 「…………」 ドアを閉められた。 複雑な気分になったが、昨日までならこんな気分にすらならなかった。 「さあ、帰るか」 お隣りさんの悲鳴と明日再び行くハルの黒の世界を楽しみにしながら僕は自宅へと帰った。
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