僕はあなたに恋をする

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もう履歴書を書かなくてもいい。 日曜の新聞に入る折り込み広告を見て電話をしなくていい。 面接に行かなくてもいい。 緊張しながら電話がかかってくるのを待ったり、面接結果が来ていないかをポストをのぞかなくていい。 全てから解放されて嬉しかった。 もうこんなことしたくない。 今の仕事を辞めたって、他にいい所なんてすぐに見つかるわけない。 自分にそう言い聞かせて、学校が終わるとすぐに徒歩で家に帰った。 そして着替えを済ませると、自転車を漕いで仕事場に向かう。 友達は放課後、みんなカラオケやショッピングに行ったりしてるのに、薫にはそんな時間もお金もない。
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