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仕事場に着いてロッカーに荷物を置くと、すぐに作業場に向かった。
小さな室内には、透明のケースや荷物が入ったダンボールが所狭しと置かれていて、脇には棚が置いてありそこで仕分けをする。
そして中央には梱包機が置いてある。
薫は辺りを見回して小さくてか細い声で挨拶すると、ハァーと自然に深いため息が出てしまった。
薫が苦手なお局の加藤も今日は出勤の日だったようで、既に来ていた。
作業が遅く、覚えが悪い薫のことが加藤さんは許せないらしく、とにかく薫に厳しく怒るのだ。
いつも怒られているので、薫の方もつい苦手意識が出てしまう。
もちろん優しく丁寧に教えてくれる人も中にはいるのだが。
でもいつまで経っても慣れない仕事に、最近は正直やる気もなくなって、辞めたいと思ってしまう。
でも辞めたら家族が生活できないし。
薫の心の中は、いつも二つの想いが交差していた。
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