Plumbago

【１】

pipipipipipipipi―…

響きわたる電子音が終りの時間を告げる。

必要以上に大きな音を上げ鳴り続けるタイマーを切って再びベッドからソファに腰を下ろした。

「残念だな、もう時間切れ」

「そうみたいですね」

吸っていた煙草を灰皿に押し当て、財布から１万円札を抜き出すと

「ありがとう」

そう言って、それを私に差し出した山村さん。

それに躊躇することなく満面の笑みを作り、こちらこそと１万円札を受け取った。

別れ際、必ずチップをくれる山村さんは、この仕事を始めて間もない頃に出会った優良な顧客。

「今日はもう延長しないんですか？」

「寂しいかい？」

「はい…」

「月末また会いに来るよ」

「約束ですよ？」

120分のVIPコースに加え延長２時間。

今日はちょっと、長かったな。

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