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沖田総司、26歳・・・・・・病は刻々と彼の身体を蝕んでいた。
女のそれよりも痩せ細ってしまった腕は、剣を振るうのに耐えられないであろう。
痩けた頬と血色の悪い唇が、彼の余命の短さを否応なしに物語る。
けれどその眼は、死を目前にして一層の光を讃えていた。
その眼に舞い落ちる風花を映して、沖田は遠い戦場を想った。
あの時既に病を患ってはいたが、今ほど進行は早くなかった。
所詮、自分は戦場でしか生きられないのだ――安らかな暮らしなど、似合わない・・・・・・耐えられない。
(土方さん――)
共に最後まで走り抜けなかったことが、何よりも悔しい。
(彼の力になれない私に、生きている意味など無いのに)
病で死ぬくらいならいっそ、力の入らないこの手に剣を握って、戦場に散りたい。
何度この療養所を飛び出そうとしたろうか。その度思うままにならない身体に、沖田は自分自身への憤りを覚えた。
(今、私が再び剣を取ったら・・・土方さんは怒るだろうな)
その様子を想像して、沖田は自嘲気味に笑う。
有り得るはずも無いことを――
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