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「…………」
布団をひっぺ剥がし、自分の腕に抱きつくそれをまじまじと見つめる。
一瞬で目が覚めた。
自分のTシャツ一枚だけを着た――いや、そのTシャツが半分以上捲くれあがってる状況を見るなら裸同然なのだが――まだ幼さの残る少女。
慌ててその少女から目を逸らして、空いている手で頭を掻き毟る。
誰かコレは夢だと言ってくれ。
そんなことをかなり切実に願いながら、太一郎は昨夜のことは現実だったのかと改めて実感していた。
「おい、少年。この目覚まし時計は止めてもいいのか?
というか煩いから止めるぞ」
更には器用に手で目覚まし時計の頭を叩きながら、不機嫌そうに尻尾を揺らす黒猫に気付いて――頭痛を覚えた。
ついでに元凶となった自分の祖母に心の中で恨み辛みを呟くのだが――あの祖母に自分が敵うはずもないと、早々に諦めてため息をついた。
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