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「九回裏、四対三。
あと一人打ち取れば優勝です!
さぁ、ピッチャー覇王、ここまで一人マウンドを守ってきました!
しかしこの回、下位打線を難なく抑えましたが、土壇場でスタミナが切れてきたのか、一番から三番に立て続けにヒットを打たれ、二死満塁。
ここでバッターは、多くの球団からドラフト一位されることが確実視されている、四番帝王。」
解説者が興奮気味に解説してるなか、グラウンドに立っている覇王と帝王。
覇王は肩で息をし、帝王は少し余裕の見える表情で、左打席に入った。
そして息をのみ、覇王がモーションに入る。
それを見て帝王が構える。
「さて注目の第一球…」
興奮する解説者。
ただマウンドとバッターボックスにいる二人だけを見つめる、大勢の観客。
その中、覇王の手から白いボールが放たれた。
そのボールはグングンキャッチャーに近づき、ミットに収まるかと思いきや、帝王の振ったバットの真芯に当たった。
「カキーーーーン!」
気持ちいい金属音がし、打球は一直線にセンターへ飛んでいく。
しかしそのセンターは一歩も動かない。
そして打球は…
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