ヤキュウ、か…

2/13
前へ
/108ページ
次へ
「九回裏、四対三。 あと一人打ち取れば優勝です!  さぁ、ピッチャー覇王、ここまで一人マウンドを守ってきました!  しかしこの回、下位打線を難なく抑えましたが、土壇場でスタミナが切れてきたのか、一番から三番に立て続けにヒットを打たれ、二死満塁。  ここでバッターは、多くの球団からドラフト一位されることが確実視されている、四番帝王。」 解説者が興奮気味に解説してるなか、グラウンドに立っている覇王と帝王。 覇王は肩で息をし、帝王は少し余裕の見える表情で、左打席に入った。 そして息をのみ、覇王がモーションに入る。 それを見て帝王が構える。 「さて注目の第一球…」 興奮する解説者。 ただマウンドとバッターボックスにいる二人だけを見つめる、大勢の観客。 その中、覇王の手から白いボールが放たれた。 そのボールはグングンキャッチャーに近づき、ミットに収まるかと思いきや、帝王の振ったバットの真芯に当たった。 「カキーーーーン!」 気持ちいい金属音がし、打球は一直線にセンターへ飛んでいく。 しかしそのセンターは一歩も動かない。 そして打球は…
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加