日常

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「曽根川…どうかしたのか?」 「はぁ…はぁ……、  すい……ません……!」 明らかな心配の表情で、担任の先生が訊ねてくる。 「いえっ……そのっ……!」 全速力で走ってきたので、まともに話すことが出来ない。 ボクは全身全霊、全力でもって、息を整えようとした。 『息を整える』の意味を考えると、逆効果な気がしないでもないけど、待ってくれている先生や、クラスメートを思うと、やっぱり少しでも早く、と気持ちが焦ってしまう。 「で、本当にどうしたんだ?  お前が遅刻なんて、この三年間で初めてだろ?」 きっと通常の1.5倍くらいの時間をかけて、ようやく呼吸を整えたボクに、先生がもう一度質問してくる。 ちなみにこの状況を説明すると、 ここは仙崎第二中学三年一組の教室で、教卓には件の先生とボク、それを見守るクラスメート。 そしてボクは中学三年間、いや、小学校の頃から見ても初めての遅刻をして、 この状況に至る、ということになる。 「あのっ…その……、  ただの…寝坊なんです……。」 自分でも驚きの小さな声で、ボクは絞り出すように言った。
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