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「申し遅れました。私は第5296代目死神の伊叉浪 綾音(いざなみ あやね)と申します。綾音と呼んで下さい」
女の子はにっこり笑いながら答えた。
はあ?死神?
「そういう冗談じゃ笑えないよ。子供じゃないんだ」
「私はホントに死神です!」
女の子は胸を張って、憤慨したように言う。
まだ押し通すのか?
大体、どうせやるならもうちょい死神らしい格好で来いよな……
ジーパンにダッサいTシャツで現れるんじゃなくて。
「いやもういいや。早く出て。いい加減にしないと警察呼ぶよ?」
ていうかどうやって入ったんだ。
「どうやら信じてないようですね。ホントはこんな事したくないけど……」
そう言って綾音とやらは、壁を元気に這っている蜘蛛に眼を向け、少しだけ顔をしかめた。
その瞬間、綾音の眼が青白く光ったかと思うと、蜘蛛がポロリとカーペットの床に落ちた。
急いでベッドから這い出てその場所を覗くと、絶命してピクリとも動かない、ただの黒い塊が落ちているだけだった。
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