第1章 魔法学園

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つぶやきはしても、覚える気もないのですぐに忘れてしまうだろう。 自慢じゃないんだが、人の名前を覚えるのが苦手なんだよなー、これが。 頭を掻きながら教室の場所を確認するため、再度ボードを見上げる。 1-Aというのが光真のクラスで、本塔1階と書いてあるのみだった。 「って、本塔ってどこだよ・・・。」 ため息混じりに不平を漏らす光真。 「あの・・・」 「ん? なんだ、あんた?」 光真のつぶやきを聞いたのであろう、白銀の髪を肩まで伸ばした女の子がおずおずと声をかけてきた。 「あ、すいません。 困ってらっしゃるようだったので・・・。 本塔でしたら皆さんに付いていけばいいと思います。」 と、言って女の子は光真の背後の人波を指差す。 「あー、確かにな。 さんきゅ。」 女の子のもっともな意見に、ぽんと手を合わせて頷くと、光真を礼を述べて人の流れに身を任せ教室へと向かった。 1-Aと書かれた教室に入ると、既に数人の男女が席についていた。 黒板に席順が書いてあることに気付き、静まる教室の中大人しく着席することにした。
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