Cell Train

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「はぐはぐ……」 ケーキに夢中になって噛り付いてる所長。 僕も便乗してケーキを頂ける事に。 人生初のケーキは、甘くて……柔らかくて……。 「美味しいですね、所長さん」 「うん、幸せなです~」 口の周りに白いクリームをたっぷり付けて、それでいて満足そうな顔。 「あ、そう言えば大ちゃんの所に行かなくちゃいけません」 「そうでしたね……あ、ご馳走様でした」 「ご馳走様~」 「あいよ、2人共もう行くのかい?」 「はい……」 「うん!!これ以上大ちゃんを待たせると泣いちゃうから言わないです!!」 「泣くんですか……?」 「うん!!」 「嘘言わないで下さい」 後ろから声がしたので所長さんと共に振り返った。 「俺がいつ泣きましたか、所長」 「う~、聞かれてましたか~」 「にしても2人共、随分良い物を食べた様で」 「うん!!美味しかったですよ!!」 「大輔ちゃんも食べるかい?」 「生憎……甘い物は苦手なんですよ」 「あら~残念ね」 「にしても所長、お風呂冷めちゃいますよ」 「あ、そうだったです!!行こう、ひかるお姉ちゃん!!」 「は、はい……!!」 「またおいでね~」 「あ…ありがとうございます!!」 慌てた様子の所長さんに手を引かれ、後ろから聞こえて来たおばちゃんの元気な声に名残惜しい気を堪え返事をした。
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