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よし。
「ほら…もう大丈夫だからね」
「にゃ~」
猫を両手で抱き確保、そこで何となく下を見た。
うわぁ……高い…………。
「よく君、こんな場所まで登って来たね」
「にゃ?」
「うぅん……なんでもないよ」
「にゃ~」
随分人に懐いている猫だな……。
「それじゃ、降り………」
ベキッ!!!
「へ?」
「にゃ?」
枝が盛大な音をたてて折れた。そのまま自由落下する僕と猫。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ま、まずい!!
「くっ……!!」
木の方に手を延ばし、適当な部分を掴もうと試みる。
ガシッ!!
「うっ!!」
「にゃ~、にゃ~」
弱々しく鳴く猫。
「もう…少しだからね……」
「にゃ~」
「ははは、僕ならこのくらい大丈夫だよ、やられ馴れてるから」
右手で猫をしっかり抱きしめたまま、左手で枝を掴んでる僕。
でも……掴み所が悪かったなぁ………。
左手に刺さってる枝、その傷口から流れる血。
痛い……でも馴れた。
怖い……これも馴れた。
「お姉ちゃん!!」
下の方から聞こえた所長さんの声。
「ははは、やっぱり僕駄目でした……」
「早く降りて来て下さい!!」
「そうしたいんですけど……」
もう、手に力が…………。
もう、限界です………。
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