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手が枝から離れる。
再び自由落下し始めた身体。
落ちたら痛いじゃ済まないだろうなぁ……ま、あそこで無くなってた命だし、少し延命したって事で……………。
あれ?
いつまで経っても、痛みは来なかった。
左手は相変わらず痛いけど…。
「ふ~、ギリギリですね」
「大………輔さん?」
「すぐ手当てしましょうね」
大輔さんは至ってのんびりと私を受け止めてくれて、何事も無かったかの様に笑顔でそう言ってくれた。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「はい……すみません」
「へ?」
「心配掛けた事と、猫を無事に救出出来なかった事についてです」
「あ、それは……」
「本当に………すみません」
懸命に頭を下げる。
お願いだから僕を見捨てないで。
ポン
頭に柔らかい感触。
「所長……さん?」
所長さんが、頭を撫でてくれていた。
「大丈夫ですよ、皆さん最初は失敗ばかりなんですから!!それに私はお姉ちゃんが失敗した様には見えませんし!!」
「え……でも………」
「そんな人に、その猫は懐かないと思いますよ!!」
へ?
ふと足元、踵の方を見た。
「にゃ~」
さっきの猫が、僕の足に擦り寄って居たのだ。
「とにかくお姉ちゃん」
「は、はい……」
「お仕事、お疲れ様です!!」
「……………す」
「にゅ?」
「ありが……すん…ござい゙ま゙ず…ひっく」
「ちょっと!!何で泣いてるんですか!!」
「判らない゙んです……でも……」
きっと……嬉しいんだ。
初めて人に感謝されたから…。
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