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「知らないんですか!?巨大鉄道として各地を転々と移動しているこの街を!!」
「はい…すみません…」
「いや…謝られる事でも無いんですけど」
「いいえ、それじゃ無くても……街の外を見るなんて初めてで……街?」
「……?どうかしたですか?」
そう言えばこの子、街って言ったよね。
「あの~つかぬ事お伺いしますが」
「んにゅ?」
「ここは鉄道の中なんですよね?」
「えぇ!!巨大鉄道セルトレイン!!今日も宛ての無い終着駅目指して運行中ですぅ!!」
「でも……さっき街って」
「あぁその事ですか!!」
良くぞ聞いてくれました的な口調でそう言った女の子は、コホンとわざとらしい咳ばらいをした後。
「ここはその巨大さ故に、街としても機能しているんです!!動く街、何だかワクワクしませんか!?」
と、迫力満点、笑顔満点で説明を付け足した。
ゴメン、僕はあんまりワクワクしないや。
「そう言えば、アナタ名前は?」
「はい?」
「だ~か~ら、名前です名前!!」
「あ、はい、僕の名前は……」
「?どうしたですか?」
「い、いや……」
言葉が何故か詰まった。
嫌いな人から貰った、飾り程度の名前。
僕の嫌いな名前……。
「すみません………名乗りたくないです」
「はい!?」
何言ってのこの人!?見たいな目で見られちゃったよ。
まぁ……こんな事言ったら当たり前か。
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