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「本当すみません……」
「まぁ良いですよ、ここはそう言った人達ばかりですから」
そう言った人達?
「どう言う事です?」
「このセルトレインは……本来街として機能なんてする鉄道じゃ無かったんですよ」
女の子が目線を僕から窓に移し語り始めた。
外はすっかり茜色に染まっていて、僕が言うのもどうかと思うけど……こう言う話をするには絶好のムードだ。
「元々、セルトレインは鉱石やそう言った物を運ぶ貨物車だったんですよ」
「それが、いつの間にか居場所を無くした人達で溢れて、今の形になったんです」
居場所を無くした人。
きっと僕みたいな人…もしかしたらそれ以上の人も居るかも知れない。
そんな人達が集まった場所が此処……。
「でも、私は今のセルトレインが好きです!!皆笑顔だし、楽しそうですから!!」
女の子が再びこちらを向く。
満面の笑みが夕日に照らされて……1つの絵みたいになっている。
「楽しそう……」
「そう、楽しそうじゃなくて楽しんですよ!!きっと!!」
「……良いですね、そう言うの」
「ありがとうございます!!あ、それと……」
「?」
「名前……名乗らないならコチラで勝手に決めますよ!!」
「あぁ…はい……よろしくお願いします」
「う~んと、え~と」
頭を抱えて考え始める女の子。
少なくとも……あの親に付けられた名前よりはマシになる筈だ。
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