ブレイドハート

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 そこには、またしてもマンガの世界の住人のような者が立っていた。ブロンドの短髪に生えているのは猫耳、ショートパンツを突き破って生えているのは尻尾である。 「心優ちゃんだにゃ? アタシはシャロン。ご主人のブレイドだにゃ。よろしくにゃん」  言って右手で顔を洗う仕種をするシャロン。尻尾がゆらゆらと動いていることから、コスプレではないようだ。猫人間とでもいうのか。心優にとっては感涙ものである。 「す、凄い! こんなファンタジックな方に出会えるなんて!」 「にはは、気に入ったかな? ブレイドはフレンドより、外見の自由度が高いんだよっ」  人ではない姿まで作り出せるのかと心優は半ば驚き半ば興奮した。 「……シャロンさんはブレイドなんですよね」 「にゃん」  と頷く。 「ということは、ボクのブレイドにも人間の姿があるんですか?」 「その通りっ! でも、ブレイドが人間の姿になるにはお互いの大きな信頼がいるんだ。まだ君には無理だよ」  一生無理な気がしないでもない心優である。 「さって、さっきのを見て大体分かったかな、ブレイドのこと」  もともとハーツにはフレンドしか無かったという話、昨日と今日の戦闘、フレンドの野生化、そしてその駆除。全てを考慮して導き出される答えはそう多くない。 「ブレイドは、野生フレンドを駆除するための武器、ということですね」 「ご明察。ブレイドを用いてフレンドを倒すと、さっきみたいにバース機で回収できる。どんな武器になるかはマスターの想像、ってのはもう分かるよね」  みらいは自分で想像したブレイドであるから分かるが、心優の場合は誤作動である。この場合、なぜ刀になったのか。 「日本人には武士の血が流れてるからかな。分かんないけどねっ」  みらいは注意深く周囲を見回し、シャロンを手袋状に戻して心の中に仕舞った。そしてまた昨日の真面目な顔付きになり、心優に向く。 「いよいよ話も大詰めって感じだよ。友刃管理者(オーダーズ)のもう一つの仕事を遂行しまっす」  懐に手を入れるみらい。取り出したのは一枚の紙とペンである。みらいの懐のどこに色々と入るスペースがあるのかという疑いが浮かぶ余裕は心優に無かった。 「友刃管理者(オーダーズ)には、新メンバーの募集って仕事があるんだよ。現役が見込みのある人を誘って、あたしみたいに色々と説明してから、最終的には本人が決めるんだ」
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