ブレイドハート

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 二回目だからといって刀を前にすれば誰でも少しは驚くだろうと思ったみらいだったが、意外にも心優は全く動じていない。先に気絶したのは、胸から刀が出てくるという異常な光景のせいだったようだ。 「これって、ボクの体から出てきた……」 「そっ、君の『ブレイドハート』だよ」  またよく解らない単語だが、どういう意味かと訊く前にみらいがその刀を心優に手渡した。その途端、 「この貧弱なガキがオレの『所有者(マスター)』かよ!」 「えっ、誰!?」  突如聞こえた謎の声。部屋を見渡すも、みらい以外には誰もいない。みらいが今のような口調であるはずはない。 「オレはてめぇの持ってる刀だ」  謎の声は続ける。心優が刀に目を落としても、白いこと以外なんら外見に変わったところは無い。が、謎の声はこの刀から聞こえてくる。みらいの様子からして、心優以外には聞こえないらしい。 「ほ、本当に刀の声なんですか?」 「刀(オレ)が言ってんだから本当に決まってんだろ!」 「話せたみたいだね。それが君の心から生まれたもう一人の君、ブレイドハートだよっ!」 「ボクの、心から?」  みらいは先程落とした手型の機械を懐から取り出し、 「これは『バース機』。ハーツ社の製品で、ブレイドを作り出す機械。手の部分に触れながらスイッチを押すと作動するんだけど……、落としたせいで誤作動しちったみたい」 「あの……、ブレイドハートって一体何なんですか?」  刀を膝の上に置き、先から気になっていたことを訊いてみる心優。みらいは少し悩む様子を見せた後、いきなりピースサインを作った。 「バース機で作り出せるものは二つあってね。一つは『ブレイドハート』、もう一つが『フレンドハート』って言うんだっ。単にブレイド、フレンドって言うことが多いけどね」  それがどうしたというふうな目で心優に見つめられ、みらいは続ける。 「二つをまとめて『ハーツ』って呼んでるんだけど、簡単に言えばパートナーみたいなものだよ。その人が心に思い描いた人物を、バース機が実体化させるのさっ」 「そ、そんな機械が現実にあるなんて……」  心優がまさかという表情になるのを見、みらいはにやりとした。 「信じられない? うん、普通はそう。だから明日、君にはもう一度あたしの仕事を見てもらうよっ!」
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