初恋

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歴史が苦手だと言った日から、侑介との放課後勉強会が行われるようになった。 「歴史ってのは、縦の繋がりが重要なんだ」 年表の上を侑介の日焼けした指が滑って行く。 それを目で追って居ると、不意に大きな手が私の視界を遮った。 「はい、じゃあ問題。 ジャジャン。1945年、8月14日。日本は何宣言を受諾したでしょう。 はい、平野さん?」 目隠しのまま、私は考えた。 1945年…。確か太平洋戦争が終わった年だった筈だ。 「…ポツダム宣言?」 「ファイナルアンサー?」 「…ファイナルアンサー…」 ドキドキしながら侑介の答えを待つ。 間違っていたら恥ずかしい。 いや、恥ずかしいだけじゃ済まない。 「………。」 「………。」 とにかく焦らす侑介に、私はコクリと唾を飲んだ。 「…正解!!」 侑介の声と同時に離れた大きな手。 安堵の溜め息と笑顔が漏れる。 「よ、よかったぁ…」 「ったく、平野は大袈裟だなぁ。間違ったって死にゃしないよ」 くつくつと笑う侑介に、私は消しゴムを投げつけた。
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