たくさんのコードに繋がれた彼女を見るたび、

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 あのコードはみんな世界のどこかに繋がっていて、彼女は大地に、人に、ささやかな力を送っている。その力が世界を作り、保ち、支えているのではないだろうかと。  だから、いいのかい。そのコードを引き抜いても。  世界が終わるよ。知らないよ。  笑ってそう言うと、ぐしゃぐしゃの顔をした男が困ったようだった。ほら、困るだろ。  やめときなよ。悪いことは言わない。やめときな。  なのに、男はそのコードを引き抜いた。ぼろ、ぼたぼた。たくさんのコードが床につき、僕は悲鳴をあげた。 (あああ、) (ああああああ!)  ほら見ろ、ほら見ろ!  がらがらと音をたてていろいろなものが壊れる。真っ暗だ、真っ暗だ。ざまぁない、だからいったのに! (せかいが、) (壊れちゃった、じゃないか) (ぼくのせかい) (きみは生きてる生きてる生きてる生きてる生きてる生きてる)(死んで、ないったら!)
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