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短足でのんびりな私ってどうやって追いついたらいいのよ~。と泣きが入るが。
遥は腕時計を眺めながら、また歩き出そうとする。
「華奈多ちゃんのペースだと3時までに戻るの無理だよ」
慌てて華奈多は遥のジャージの右袖を伸ばす勢いで引っ張って引き止めた。
「だってまだ始まったばっかりじゃん!私達随分前の方歩いてるはずだよ!周り男子ばっかりだよ!」
確かに・・・。
競歩と間違えてるんじゃないかという速さの男子が次々と二人を追い越していく。
「姐さまね!あのね。3時なんて期限ついてるけど、ホントは5時6時なんてザラなんだよ。30キロを6時間で歩けなんて、ホントは無理なんだよ~!」
諭すように華奈多は続ける。
「解った解った。じゃあ、目標はお昼の時間入れて4時」
「全然解ってないじゃ~ん!」
姐さまどんだけ自分にも周りにもストイックなの?と隣で愚痴る友人の手を引きながら、
「早く戻れば、早く放課後になるから」
「遠足の日に放課後も何もない!」
手を引かれながらイヤイヤと首を何度も振る華奈多。
「大丈夫。ぼーっと右左順番に足を出してたらいつの間にか着いてるから」
遥は歩き出す。
でも今度は、隣の華奈多にきちんと歩幅を合わせてくれているのが解った。
思い込んだら一途な遥に、
「もぉ・・・!姐さまの好きにさせてあげるから、引っ張って連れて行ってよ!」
折れるしかない華奈多は引かれていただけの手をぎゅっと繋ぎなおした。
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