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「――相方じゃないから止めません」
「姐さま!本日2回目の『ヒドイ!』ですよ!」
二人からやいのやいのと騒ぎ立てられ、眉間に皺を寄せてうんざりだ、という表情をつくった遥は、
「先に行ってるから、終わったら追いついてね」
二人をその場に残して歩き始めた。
「あ!姐さまぁ!」
華奈多は自転車を手放して駆け出すと、遥に追いついてまた後ろから手を繋いだ。
杜は幼い口元を緩めながら二人を眺める。
「う~ん。可愛いねえ。今時の高校生ってフツーに手を繋いで歩いちゃうもんね。きゅんきゅんする」
ひとりごちながら、自転車に乗りなおす。
「じゃ、二人とも終わったら部室に集合~」
あんなに自転車に執着していた華奈多は、
「はーい!頑張りま~す」
両手を振りながら杜を見送る。
また杜は立ち漕ぎで小さい身体を大きく上下させながら、全速力で走り去って行った。
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