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「私、加良部です。そのメガネっ娘っていうの、止めてください・・・」
え~、と唇を尖らせながら、杜は抗議する。
そんな表情をすると丸い顔は更に幼くなった。
「いいじゃない。今時の若者がコンタクトでもレーシングでもないのが貴重でしょ。メガネっ娘の何が不満か?」
「コンタクト体質に合わないんです。レーシング手術は社会に出てから考えます」
「――メガネっ娘がいやなら、801ちゃんて呼んでもいい?漫研入るんでしょ?」
そんなこと一言も言っていない。…興味はあるが。
「どうしてそんな腐女子な選択肢しかないんですか。止めてください」
「ごめんごめん。何だか加良部さん私の高校時代を見てるみたいで、ほっとけなくて」
「先生漫研だったんですか?」
「ん~?違う違う。私絵心ないから。実は10年前紅茶研設立メンバーだったの。『紅茶王子』っていう漫画が流行っててね~。勢いで」
「それ、文庫で読んだことあります」
「お?いいね。授業以外の話で初めて喰いついた」
「私も紅茶好きです。・・・今も残ってるんですか。紅茶研究会」
「部員は今も数百人単位居るみたい。断然校内イチの部員数だと思う」
「数百人も?」話に夢中でそのまままっすぐ進もうとすると、
「――あ。違う違う。こっち」
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