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私が顧問やるからには、布教活動するわよ~。と心意気も新たにしたところで。
2分の砂が全て落ちきる頃合だ。
ティコジーを取り外し、
ティポットを徐々に高く上げながら、注ぎ口から注がれる紅茶をカップで受け止める。
淡い赤色に染められた中から立ち上る芳香。
「桜の・・・というより桜餅みたいな香りですね」
「んもうメガネっ娘ってば食いしん坊。――うん。でも解る。道明寺食べたくなる」
口の中に広がる、優しい気持ちになれる香りと味。
ふぅ、と一息ついたところで。
「――じゃ、落ち着いたところで。メガネっ娘の秘密も暴露しちゃおうか」
杜の幼い顔に、にこにこと笑顔が満開になる。
「だって私ばっかりカタルシスっていうのも、ね」
まだ其処まで話す勇気もない遥は、交換条件を出した
「――先生が『新山君』の話をしてくれたら、お話します」
えぇ~、じゃあいいやぁ、と口先を尖らせながら、杜は不服そうに呟いた。
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