幼少期

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同じクラスに髪を茶色に染めてパーマをかけ、まるでお姫様のような可愛い子がいた。たまたまその子とは同じ名字だった。それ以外は全く違う。彼女は明るくいつも一番じゃなきゃ気が済まない子。私は髪は黒く真っ直ぐ。お気に入りは真っ赤なワンピース。性格は暗く、自分から決して輪には入らなかった。誰かと居るのが怖かった。 ある時、そのお姫様は私に話しかけてきた。 「ねえ、キョンシーごっこして遊ばない?」 と。 私は純粋に誘われたことが嬉しかったので、すぐに「うん」と答えた。 でも、 「私はテンテンね!ゆみちゃんもテンテン!あ、春夜ちゃんはキョンシーね!!ほら帽子を顔に被ってよ!!!手をちゃんと前にあげて……あ!歩いちゃ駄目よ。ちゃんと跳んでよ!私達が今から退治するんだから!」 以来私だけ“キョンシー” 他の女の子達は“テンテン” 友達だった二人は反対してくれたがお姫様は決して意見を曲げなかった。 もちろん皆から毎日のように叩かれ罵られ楽しいわけがない。次第に私は幼稚園に行かなくなった。いつも家にいた。一年ぐらいは行かなかったと思う。親も騙し騙し幼稚園に連れていったが直ぐに私が泣き出し、そのまま連れて帰る事が多かった。
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