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「そ、そんな……。僕の能力は、確かにケータイを見えなく出来ますが……シャッター音は消えませんよ!」
「シャッター音は消えなくても関係無い。携帯電話にはムービー機能があり、そのムービー機能の中に『キャプチャ』という操作がある。動画中の一画面を画像として保存するものだ。つまり、生徒会長が来る前にあらかじめムービーを起動させておき、生徒会長がいなくなればムービーを解除する。その動画の中から一場面をキャプチャすれば、あの画像が手に入る。玲奈さんと同じ部活の君なら、造作も無いことだ」
「そんなこと、思い付きませんよ……」
僕はいつの間にか、両手をギュッと握り締めていました。
「お前なんだろ!正直に言いな!」
僕を囲むように立っていた上級生の一人、坊主頭の男子生徒が、僕の腕を握り締めました。
痛い。
「ったく、女みてぇな顔しやがって……とんだスケベ野郎だな!」
「だ、だから僕じゃ……」
ヤバい。
誰か助けて──。
僕は祈りました。
その時です。
「待ってください!」
生徒会室のドアが勢いよく開きました。
そこにいたのは──頭のてっぺんの毛がぴんと跳ねた可愛い女の子。
香坂夕月です。
「アキラはやってないって言ってるじゃないですか!とにかく離してあげてください!」
夕月がこんなに怒っているのを初めて見ました。
なんだか嬉しい。
「しかし、容疑者は容疑者だ!」
「だったら」
夕月は坊主頭の男子生徒に歩み寄り、その鼻先をびしっと指差しました。
「私とアキラが真犯人を見つけ出します!」
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