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時は、深夜。空に月すら浮かばぬ暗闇の中。
ある、三人の高校生が自身達が通う高校に忍び込み、廊下をてくてくと歩いていた。
「うわ、くっらぁ…つかマジにこええな、夜の学校」
「なーにー?お前まさかびびってんのかよ?」
「ん、んな訳あるかい!」
「ちょっとうるさいよ二人ともー。警備員とかに見つかったらやばいから静かにしなさいよー」
「「はい…」」
三人は時に恐怖し、からかい、そしてそれを諌めながらもただひたすらに廊下を歩いていた。
…彼らはなぜこんな深夜に学校の廊下を歩いているのだろうか。本来ならば就寝していたり、または遊びに行ったりしている時間だろうに。
…その謎は、三人の内の少年の口からぽつりと漏れた。
「…にしてもさ。本当なのかねー…この学校に幽霊が出るって話」
…そう、そうなのだ。彼らは自身の学校の、今時珍しいとも言える怪談話の実証の為にここまでやって来ていたのである。
「…っは、んな訳ねえだろ!実際にいたらガチでヤベーだろっつの!そもそもネタとして来てんだから出てこられても困るってか…」
「…し!静かに!そろそろ着くよ…ユーレーが出る場所に」
もう片方の少年がその少年の不安を和らげるように砕けてそれを否定しようとする…も、途中で少女の声に遮られ、仕方無く口を噤んだ。
そして三人は立ち止まり、持っていた懐中電灯で件(くだん)の幽霊がいる場所を照らす。
そこは…三階から四階を繋ぐ階段であった。
「…確か今の時間帯にココ昇ると幽霊に襲われて、半殺しにされる…っつー話だったよな?
…とりあえず、昇ってみようぜ」
からかい少年の言葉にこくりと頷く二人。
タン、タン、タン、タン、タン、タン…
「「「……………」」」
三人は階段を昇っていく。息を、出来る限り潜めながら、無言で。
…まるで、誰かに見つかるまいとしているかのように。
そして…
タン…タン…タン!
彼らは、その半分を昇りきり…踊り場へと辿り着いた。
「…っふぅー…な、なんだ…出ないじゃねーか、ビビらせやがって」
先程のからかい少年が安堵したように息を吐(つ)き、言葉を告げる。
他の二人も同じ様に息を吐(つ)いて、多少表情を和らげていた。
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