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「けど、まだ後半分残ってる…油断はできないわよ」
そのまま一分程踊り場で佇み、休憩をしていた三人だったがその中の少女が残り半分の階段に目を向け、少年二人に注意を促す。
比較的大人しめの少年はその言葉に素直に頷いたが…
「なぁに、半分出なかったんだからもう半分も出ねーに決まってるって!!」
もう片方の少年はその忠告を笑い飛ばし、もう半分の階段の前まで歩いた。
少女は彼の言葉に困ったような笑みを浮かべると「まあね」と返した。つられて大人しめの少年も笑う。
「さて、幽霊さんよ…出て来るなら出て来いってんだ!」
言いながら少年は足を階段の一段目に掛け…
「ッッッガァ!?」
――それと同時に、その少年が…『何かに押された』ように後方の壁まで吹っ飛び、叩き付けられた。そのまま『押さえ付けられている』ように壁に大の字で張り付く。
「「…………え?」」
その、あまりに突然の事態に…思わず、疑問の言葉を口にする二人。
「あ、え…?何がどう…」
「え…え…?」
『ふふ…ふふふふ』
「「?!」」
未だ事態が飲み込めぬ二人が困窮の言葉を口に出すと同時、踊り場の何処からかくぐもった、人の笑い声が発せられた。
二人は原因を探し、上下左右に首と目を動かす。
……が、何処にも何もない。ただ暗闇だけがその場に存在していた。
『ふふふ…いくら探しても無駄さ。君達じゃ見つけられない』
再び声。しかしやはり原因は掴めない。
「ど…何処よ!一体何処から…」
「…っ!?ギャッ!?」
尚も探そうとする少女だが…今度は大人しめの少年がバァン!と床に強く大の字になって叩き付けられた。苦しそうな声を上げ、悶える少年。彼もやはり…押さえ付けられているかのように起き上がらなかった。
『ふふ…あはは、アハハハハ!』
「イヤ…イヤア…イヤアアア…!」
三度、声が聞こえたその時…少女は悲鳴を上げながら下り階段を駆け降り始めた。
…無理もない。
元々夜の学校、という状況で少なからず緊張していた心に同級生が吹っ飛ぶという異常事態…さらには恐怖を煽るような謎の声。
もう、混乱と恐怖が極まったその時に…さらに謎の笑い声を聞いたのだ。
『逃げ出す』という行動を選ぶのは…当然の事と言えよう。
…だが。
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