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「…は、っは、…もうすこ…きゃう!?」
後少しで廊下へと出られる、という所まで降り、そのまま出ようとした少女だったが…何故か階段の一段目の先に…何もない筈の空間に『顔をぶつけ』、その場で尻餅をついてしまった。
「え…なん、で…」
『ふふ…ふふふ…君は…もうそこから逃げられないよ…アハハハハ…!』
…声の主は…それを許してはくれなかった。
「…い、いったい…なにが…」
タン…
「っひ!?」
少女が尻餅をついたまま混乱の表情を浮かべていると…突如として後ろから階段を降りる足音がその耳に届いた。
慌てて振り返り、立ち上がる少女。
タン…タン…
その足音はゆっくりと、だが確実に階段を降りていく。
…まるで、少女を追い詰め、その様を楽しむように。
「…あ…ああ…」
少女はその身体を支配している感情…つまり恐怖に従い、階段の方を向いたままじり、じりと後退(あとずさ)っていく。
「…っ!あ…」
だが、すぐに少女の背に…あの、不可視の壁が当たる。
――お前に逃げ場は無い、と。そう告げるように。
タン…タン…タン…
そして。
タン…タン…タン…タン…
その足音の主は。
…タン。
少女の前まで…その足を進めた。
「あ………」
同時。
少女の意識は…儚く、そこで途切れた。
『ふふふ…アハハハハ!アハハハハハハ…!』
…最後に…あの、狂ったような笑い声を、聞きながら。
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