夢心地

6/7
前へ
/48ページ
次へ
…都合良く、彼女は食事を終えて隣の部屋にいる。 ───今、しかない。 隣の部屋へ行くため、席を立とうとしたその瞬間。 隣の部屋へ繋がる扉が開いた。 Eが、立っていた。 「─────────あ」 ────目が醒めるように、我を取り戻した。 「…僕は」 「…?」 カラン、とハサミが落ちた。 「…鋏…?」 Eが不思議そうな声を上げた。 「すみません…」 「?」 「僕は今…貴方を殺そうとした」 「…………」 俯いている間は、Eがどんな顔をしているかも分からない。 軽蔑しているかも知れないし、優しく頬笑んでいるかも知れない。ゴミを見るような目をしているかも知れない。 それでも、事実を打ち明けた。 顔を上げる。 Eは頬笑んでいた。 「同じことを考えてるなんてね」 ──Sに、銃口を向けながら。 「心配しないで。ちゃんと貴方も食べてあげるから」  
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加