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プロローグ
朝起きてダルいけど学校に行く。
携帯を開きメールをチェックする。いつも日課だ。
待ち合わせの場所へ急ぐ。
これもいつものコト。
『ごめんっ!!わりぃ…』
『はぃはぃ!!いつもでしょ。いこっか』
ドラマかよって会話を繰り返すが…それはそれで当たり前だった。
またある人は朝起きて、いつものように会社に行く。
『8時っ!???やっべぇぇ~』
独り言。
毎晩遅い帰宅なので朝がきつくなるのはしかたないことなのだか。
いつものように適当に朝飯を食べて、いつものように電車にのる。
『ふぅ…』
間に合った~
やたら時計を気にして時間を計算。
ただ当たり前の毎日を繰り返す。別に不満はないはずなのに、それになぜか刺激を求め、現実に溜め息を吐く。どこかで"飽き"を感じているからだろうか。
友達とのたわいもない会話、メールに食事。
バカなことしたり悩んだり…
出来て当たり前。
『生きている』
生を当たり前に感じもせず生きている。
そんなときには思えなかった。
そんな全てが幸せなコトなんだなって。
隼人は目の前に広がる光景から目を背けるように"昔"を…といっても、少し前の当たり前だった毎日を思い返していた。
体中にはいくつもの傷。
血の滲んだシャツ。
髪は少し伸びてボサボサになっている。
いまはそのシャツの上に防護服を着ているせいかあまり血は見えない。
『ぐぅ…』
腹が減った…ここ何日かまともな食事すらしていない。この状況でそんな贅沢いるわけもなく、もっていた水筒の水を飲んだ。
水だけはやたらある。
<カチャっ…>
もっているショットガンを確かめた。
『真樹…』
隼人はしばらく真樹とのお揃いの指輪を握りしめうずくまっていた。
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